Dendrocalamus sp.? In Jan. '10, Western Myanmar
雛祭(ひなまつり)でおなじみの“ぼんぼり”は、漢字で“雪洞”と書くらしい。
2010年7月28日付のブログで、リスの写真を掲載(けいさい)したが、あのキャプション一文を書くのには、実は、かなりの下調べが必要だった。正直言って、今もって自信がない。
種類も多く、色変異(へんい)も様々なリスの種の同定(どうてい)もおぼつかないが、もっと不思議なのは、その手に掴(つか)んだものだ。“竹の花”と書いてはみたものの、はたしてそれでよかったのだろうか…?
In Dec. '06, Northern Myanmar
まるで雛飾(ひなかざり)のミニチュア雪洞のようなこの丸い物体は、ミャンマーでは再々(さいさい)見かけているような気がして、大して珍しいものとも思ってなかった。そして、その雰囲気からして単純に花であろうと思っていた。
けれども、竹の花といえば、何十年に一回咲(さ)いて、その後、竹そのものが枯死(こし)するということで有名だ。
ゾウも竹雪洞が大好き。
Dendrocalamus sp.? It is elephants' favorite food. In Jan. '10, Western Myanmar
何十年に一回のものを再々見るという矛盾(むじゅん)に対しては、ミャンマーでは竹の種類が多いことと、私自身が広く全国を回っていることで、違う種類、違う地域での何十年に一回に、たまたま何度も立ち合えているのだろうと、都合(つごう)よく納得(なっとく)していた。
竹の花(?)とチャイロハウチワドリ
Bamboo flower? with Prinia rufescens. In Jan. '99, Western Myanmar
ブログであのリスの写真を公開するにあたり、念のため、まずは植物のことなら真っ先に相談する農学博士の親友に写真を見せてみた。自分では「これ、花だよね」ぐらいの軽い確認だったのだが、返答は意外(いがい)なものだった。「こんなの見たことない」…
写真は、2006年12月にミャンマー北部で撮ったものだが、運よく、掲載の半年前の2010年1月にも、私はミャンマー西部で大量の竹雪洞に会っていて、その時は、リスの脇役(わきやく)とかではなく、ちょっとまじめに写真に収めていた。
それらの写真は、親友を通して竹に強い専門家たちにも送ってもらったが、そこでもやはり「見たことない」とのこと。なんとか“天狗巣(てんぐす)病”ではないかという可能性が第一候補(こうほ)として浮上(ふじょう)してきたが、断言(だんげん)はできないという断(ことわ)り付きだった。
さらに別の専門家からは、“むかご”ではとの第二候補が挙(あ)がってきた。“むかご”とは、植物の枝などになる一見(いっけん)果実(かじつ)のようなもので、地上に落ちたら、しっかり芽も出す。
ただし、中に種(たね)は入っていない無性生殖(むせいせいしょく)なので、いわば地上のイモのようなものである。
Melocanna sp.? In Feb. '11, Western Myanmar
なかなか意見がまとまらないため、より熱帯に近い母校、琉球大学林学科OBの中で、植物分類にかけてはエース級の先輩(せんぱい)と後輩(こうはい)にも尋(たず)ねてみた。そこで、メロカンナ(Melocanna)属の竹の花ではないかという具体的な名前が挙がってきた。
中国名を梨果竹と書き、果物(くだもの)のような大きな実がなるというものだ。さらに偶然(ぐうぜん)にも、この捜査(そうさ)の最中(さいちゅう)に、日本のどこかの植物園でメロカンナの竹の花が咲いて実が成ったというニュースを目にした。
ネットで追跡(ついせき)したところ、2010年には日本国内の複数の場所でメロカンナは咲いていたということが分かった。けれども、そこで掲載されているのは、どれも果物のような実ばかりで、雪洞状のホヮッとした花のような写真はなかった。本当の果実なのか“むかご”なのかもニュースからは不明(ふめい)だった。
2011年の1月から2月。私は前年に竹雪洞に会った場所を再度訪れた。そして、前年からの残りなのか、かなり貧素(ひんそ)な雪洞と、新たに稲穂(いなほ)状のものを見た。
Dendrocalamus sp.? In Feb. '11, Western Myanmar
もし、学名と現地名の対照表が正しければ、雪洞ができるのはDendrocalamus属で、稲穂状ができるのはThyrsostachys oliveriである可能性が高い。そして、土地の人の話では、メロカンナ属のほうは、2008年から2009年にかけての乾季(日本の冬場)に、花は咲かずにグァバのような実が成ったとのことである。果実だったか“むかご”だったかは分からない。
Thyrsostachys oliveri? In Feb. '11, Western Myanmar
ちなみに、雪洞状や稲穂状の房(ふさ)は、いずれ、籾(もみ)のようにバラバラになるが、種類によっては、ごはんのように炊(た)いて食べられるとのことである。
Thyrsostachys oliveri? In Feb. '11, Western Myanmar
今、持っている情報はこの程度ですが、できればこれを、公開指名手配(こうかいしめいてはい)としたく思います。
もし、この竹雪洞と2011年11月18日付の青いハゼの正体について、情報、ご意見がおありの方、ご一報いただければ幸いです。
Dendrocalamus sp.? In Jan. '10, Western Myanmar
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