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Onishi participated in this project as an adviser since the preparation period to negotiate with Forest Department.
東京にあるミンガラバーユネスコクラブは、2015年に「生活の森プロジェクト」を設立し、2020年に活動は完了しました。
大西はアドバイザーとして、森林局との事前交渉段階からこのプロジェクトに参加していました。
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AB3 project has been concluded successfully in Mar. 2014.
AB3プロジェクトは、2014年3月を以って無事完結いたしました。
17th Oct. 2012 updated:
下記のアドレスからAB3プロジェクトの告知板がダウンロードできます。
https://dl.dropbox.com/u/10626609/AB3%E3%83%9D%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC.doc
Some bill of AB3 project can be downloaded by accessing the under-mentioned address...
12th May 2012 updated:
2012年3月23日に経団連会館にて行われた活動報告会で配布したプロジェクトの要約を以下に公開いたします。
環境改善に挑む人々の記録
―ミャンマー・エヤワディー川沿線での取組み
ミャンマーの自然
ミャンマーの国土は、日本の約1.8倍の広さがあり、緯度差約19度と南北に長い。さらに、立体的には、6,000メートルに迫る標高差を持つ(最高点5,881m)。変化に富む地勢は気象に影響し、南にはサンゴ礁が造られる一年中暖かい海が広がり、北には万年雪をいただく山岳がひしめき、年間降水量は、500mmに満たない地域から5,000mmを越す地域まである。東南アジアにおける最高点と最も乾燥した土地と最も豪雨を被る土地を一国に擁するのがミャンマーである。
多様な自然は多様な生物相を育み、例えば概算で、植物約7,000種、哺乳類約300種、鳥類約1,000種、爬虫類約360種が生息すると言われている。
それらの命の源である水を生む森林は、徐々に状態が悪化してきてはいるものの、いまだに国土の約半分を覆っている。ここまで森林が維持されてきた要因としては、皆伐を避け、選抜された丸太のみを伐採してゾウで山地から運び出すという、ミャンマー独自の択伐法が何とか機能してきたことが大きい。ゾウ使いをはじめ林業に従事するミャンマーの森人(もりびと)たちは、山河の守人でもあったようだ。
心のよりどころ、エヤワディー川
豊かな森がもたらした水は、低地に下って合流し、大河となって、ゆったりと南の海に向かう。中でもエヤワディー(旧名:イラワジ)川は、国土のほぼ中央に本流を成し、ミャンマー国民の過半数が、その流域の中で生活している。源流から河口までのほとんどが一国の中で完結しているこの希な大河は、ミャンマー国民にとって国土を作った土着のシンボルであり、そこに抱く憧れや敬愛の感覚は、日本人が富士山に抱く感覚と似ているようにも思える。
さらに特筆すべきは、この河川沿いには人口が密集しているにもかかわらず、希少な大型水生動物がいまだに生息していることである。河口から約900キロさかのぼったあたりから約1,400キロあたりにかけては、純淡水生のカワゴンドウが生息し、デルタに残っているマングローブ域にはイリエワニが生息し、河口周辺には数種のウミガメが回遊し、河口岸や小島には母カメが産卵のために上陸する。
AB3プロジェクトの実施
背景と経緯
エヤワディー川の沿線には、豊かな水系資源をよりどころに、多くの人々が集まっており、地域住民は、水浴、洗濯、飲食のすべてに川の水をそのまま使っている。昔から変わらぬ自然に溶け込んだ暮らしぶりは尊敬に値するが、取巻く物質は近年激変し、プラスチック類、合成洗剤、乾電池などが急速に普及してきている。しかしながら、ゴミや汚水は、今でも川にそのまま流しており、新しい物質に対応した分別、回収、処理のシステムは、いまだ確立していない。
化学物質による水質悪化の影響は、地域住民の隣人として生存し続けてきた大型水生動物の生理・生態にいち早くあらわれ、やがては地域の子どもたちの体へ遺伝的に蓄積されてゆくのではないかと懸念される。人間以上に水に依存して生きている各地の大型水生動物の生息状況は、地域住民の将来の生存環境を占う指標となるはずである。
エヤワディー川の水を巡る問題に対しては、流域住民への聞取り、水質検査、野生生物観察など、数年前より大西が活動をしてきたが、平成23年度より経団連自然保護基金からの支援をいただき、“エヤワディー川三大動物共生計画(Ayeyarwady Big Three Symbiosis Project, 通称:AB3 Project)”として正式にプロジェクトが発足した。
目標
プロジェクトが最終的に目指すゴールは、エヤワディー川沿線のすべての生き物が共生できる健康的な水圏環境の再生である。
そのゴールに向かう一歩を踏み出すべく、三つのパイロット地区において、それぞれが直面している目前の課題に対応した目的を立て、地域密着型の行動を起こす。
初めから完璧を目指すよりも、まずは行動を起こし、その取組みを周りに見せることが何よりも大事なことであろうと考える。
プロジェクト活動三つのアプローチ
環境調査(広域活動)
現地で一般的な洗剤類の成分分析、パックテストによる広域水質検査、研究機関の協力による重金属の検査を、エヤワディー川流域を対象に実施。
撮影記録(広域活動)
エヤワディー川流域の景観、生物、土着文化などを写真で記録し、保存する。
パイロット地区での取組み(重点地域活動)
環境改善を目指した三様の取組みを3ケ所のパイロット地区にて展開する。
各パイロット地区の概要と取組み
地区A
目的:ゴミの分別・適正処理
場所:エヤワディー川中流域、マンダレー管区マタヤ郡エーチュン村
シンボル獣:カワゴンドウ(別名:イラワジイルカ)
カワゴンドウはアジアからオセアニアの熱帯の沿岸に生息するが、一部の地域では淡水の河川にまで分布を広げている。エヤワディー川では、沿岸から汽水域にいる他は、本流下部では生存が途絶えているが、約900キロさかのぼったあたりから再び現れる。その中流域の完全な淡水に棲むグループは、決して下流や海に下ることはなく、世界で最も内陸に住む陸封型のカワゴンドウである。その中でも、さらに一部のグループは、地元の漁師と協力して、ここだけで見られる伝統的な方法で漁をする。
活動にいたる背景:
エヤワディー川中流域では、船舶の増加、違法な電気ショック漁の横行などで漁獲量が激減しており、カワゴンドウと漁師が協同で漁を行うことも困難になりつつある。さらに、水生動物体内の水銀蓄積量が増加していることも証明されており、上流側の金鉱山の拡大、有害なゴミの増加などが原因として疑われる。
事前調査で、のちのパイロット地区となる地域を中心に、18の村の住民約30名に聞取りを行ったところ、ゴミは、空き地や川に捨てるのが通常で、燃やすこともあるのは5つの村のみだった。その中で、中流域で唯一ゴミを焼却しているのがエーチュン村で、しかも、時折ではなく、習慣として村ぐるみで集積場を定めて持続的にやっていた。
活動内容:
これまでは単に集めて焼却していたゴミを、焼却するもの、埋め立てるもの、堆肥にするもの、換金するものに分別し、それぞれに相応しい処理を施すということで、村の自治体と合意した。このゴミの分別処理は、小規模ながらミャンマー初の試みかもしれない。
既に可燃ゴミは焼却を実施し、埋め立て用の穴には徐々に不燃ゴミが溜まってきている。ゴミの分別・焼却の責任者は、村の消防団長で、カワゴンドウとの漁の技術を持つ漁師でもある。
もっとも大量に出る有機ゴミ(主に集落内の落ち葉)は、現在、時折くぼ地に集めて焼却しているが、これを堆肥にするための講習を、2012年5月下旬から7月にかけて現地で行う。この講習の実現にいたるには、現森林局次長の合意と手配があり、かつて日本より無償供与された中央林業開発訓練センター中部サブセンターから村に専門家が派遣されることが決定し、日程や必要資機材などについては、既に打合せを終えている。
プロジェクト対象地区の中で最も上流側にある当地区において、有害なものをなるべく川に出さない努力を民間の自治体が実行するのは、意義深いことであろう。
地区B
目的:入域者管理・啓発
場所:エヤワディー川デルタ地域、エヤワディー管区ボーガレー郡メインマラー島自然保護区
シンボル獣:イリエワニ
かつてミャンマーに4種いたワニのうち、現存するのはイリエワニのみである。その生息地は、デルタ地域の中でも唯一まとまって天然のマングローブ林が残っているメインマラー島にほぼ限定され、希に他の地域で生き残っているイリエワニの出現情報があった場合にも、捕獲してこの島に移送している状況である。
活動にいたる背景:
メインマラー島は中州から成る平らな島で、マングローブ林に覆われた島内には網の目のように大小の水路が巡り、入り組んでいる。デルタのマングローブ林がほとんど伐り尽くされた現在、生物が多様なこの島は、付近で最良の漁場でもある。あたりは2008年にサイクロンの直撃を受けた地域で、ほぼすべての住民が亡くなったか被災難民となった。自然保護区へ許可なく一般住民が立ち入って生業を行うことは、本来認められないが、復興支援の意味もあり、保護区内での小規模な漁は、これまで黙認してきた。
また、水路は島の東西南北に抜けており、島の周囲の本流に比べて波風が穏やかである。そのため、安全な近道であり、サイクロンや津波に対するシェルターの効果もあるため、人道的見地からも、小船の進入、通行は禁止すべきではないだろう。
ただし、大規模な漁や、水中に殺虫剤や電流を流したりする違法な漁は禁止で、さらに島内での樹木の伐採は一切認めていない。また、ワニの営巣が確認された場合は、そのエリアへの立入りが禁止される。
活動内容:
これまでは、以上の取決めが、森林局保護官と地域住民の間の微妙な機微の中で施行されてきたが、プロジェクトでは、これらを明文化、制度化することにより、排除するのではなく、むしろ積極的に地域住民と島の野生生物との共存を目指す。要領は以下の通り。
島内での小規模漁や通行を希望する者は、島内5ヶ所にある監視詰所のいずれかに申し出て、違法なものは所持しておらず違法行為も行わないということを確認した上で、島内での注意事項が記載された入域許可手帳とゴミ袋を受け取る。
島に入るごとに、いずれかの詰所で手帳を提示し、保護官の確認の署名を得る。島から去るときにも最寄りの詰所に立ち寄り確認の署名を得る。その際、島内滞在中に出たゴミを詰所に設置された回収ボックスに収め、決して島内には投棄しない。
この活動に参加してくれている住民には、保護区の環境保全協力に対する報奨として、随時日用品などを提供する。
地区C
目的:海岸漂着物の回収・分析
場所:エヤワディー川河口域、エヤワディー管区ンガプートー郡タミーラ島自然保護区
シンボル獣:ウミガメ(主にアオウミガメ)
ミャンマー周辺の海に生息するとみられる5種のウミガメのうち、エヤワディー川河口沖には、アオウミガメとヒメウミガメが多く、かつては河口域の多くの砂浜に母カメが上陸し、産卵していた。その数は年々減少し、今では陸地側の沿岸での産卵の報告はほとんどなくなり、河口沖に点在する小島がウミガメ産卵地の防衛線となっている。そのうち、河口最西端沖のタミーラ島には、主にアオウミガメが上陸するが、統計のない数十年前に比べると、その数は一桁から二桁減っているとみられる。
活動にいたる背景:
ウミカメの卵は、ごく最近までセリにかけられていたほどになじみだった海産物で、今でも違法な売買は続いている。かつて一晩に二桁の母ガメが上陸していたと言われているタミーラ島では、最近では年間100~200例程度の産卵しか確認されていない。違法な卵の採集や魚網への混入による親ガメの水死などに加え、産卵地の環境悪化もウミガメの生存を危うくしている。
タミーラ島の海岸の砂は流失し続けており、徐々に島の面積が縮小してきている。世界的な異常気象の影響ではないかと考えられているが、追い討ちをかけるように近年立て続けに津波とサイクロンが襲い、砂浜の奥行きは一気に狭くなった。
さらに、最近急速に普及してきたプラスチック製品は劣化もせず軽いため、陸地側で投棄されたプラスチック容器や袋やナイロン魚網などが次々に島に流れ着いている。日本で海岸漂着物と言えば、近隣国から流れ着くことが知られているが、ミャンマーの場合、沖の小島は、国内の河川沿いで投棄されたものの最終到達地、まさに陸地のゴミの墓場となっている。
上陸した母ガメは、砂浜を這い上がり、海岸林との際あたりに巣穴を掘り産卵する。砂浜の奥行きが短くなった現在、ゴミは簡単に海岸林の際まで到達し、まさに営巣適地を覆っている。
活動内容:
気象をコントロールすることは不可能だが、人為による被害を減らすことは不可能ではない。
まず、島の東西の海岸に調査対象地を定めた。
両端を確定した調査対象地において、干潮時の砂浜の波打ち際から海岸林の際までの間に漂着した人工物のゴミを、半月に一度のペースで水産局保護官が回収する。
回収したゴミは7種に分類し、種類ごとに重量を計測して記録する。
この調査を一年間継続し、ゴミの種類や漂着量の推移などを明らかにし、ゴミの出所も推測する。その結果は、のちに環境教育を実施する際には、重要な証拠、資料として役立てる。
調査対象地は、実際に母ガメが上陸する砂浜に定めているため、ゴミの定点定期回収は、調査の実施のみでなく、ウミガメの上陸営巣地の環境を保全する活動ともなっている。
プロジェクトの展開(希望も含めて)
1年目(2011年4月~2012年3月)
・環境調査(事前調査時より開始)
流域でよく使われている洗剤類の成分を(株)太陽油脂本社にて分析。
パックテスト((株)共立理化学研究所製)による広域水質検査。同じ地点を乾季と雨季の二度にわたり実施。
愛媛大学沿岸環境科学研究センターと野生生物保護協会(WCS)の協力による生物体内に蓄積した重金属の検査。
※ 2年目以降も必要に応じ随時実施。
・撮影記録(事前調査時より開始)
エヤワディー川流域の景観、生物、土着文化などの写真撮影。
※ 2年目以降も継続。
・各パイロット地区での活動開始
関係する組織と協議を重ね、プロジェクト活動の承認を得、活動内容の指針を構築して一年間のトライアルの道筋をつけた。三つの地区とも指針に沿った活動を開始し、巡回調査のたびに試行錯誤して、わずかな改善、軌道修正を加えつつ現在継続中である。
2年目(2012年4月~2013年3月)
・各パイロット地区での活動完了
各地区にて活動を継続し、開始から一年間経過した時点で、支援金の支給は一旦終了し、各地区にて活動結果のまとめを行う。
・普及活動の開始
主に地元の地方祭でのブース展示を想定し、身近だがあまり見る機会のない地元の自然や生物や、環境改善を目指すパイロット地区での取組みなどを紹介した教育エキシビションを企画する。
2年目には、最も早く一年間の活動を完了する地区Bにおいて取りかかり、10月下旬の満月祭にあわせて数日間開催する。
3年目(2013年4月~2014年3月)
・普及活動の継続
2年目内に一年間の活動を完了する地区A・地区Cにおいても教育エキシビションを開催する。
・地区間の交流、技術交換
一年間の活動の結果を、三つのパイロット地区ごとにプレゼンテーション用に編集し、最大都市ヤンゴンにて報告会を開催する。
報告会には、各地区からの代表者数名ずつの他、森林局水産局などの関係政府機関、各地区が所属する行政区の役所、地元メディアなどからもゲストを招き、地区間の技術の交換や公共に向けてのアピールの場とする。
・活動成果の広報
エヤワディー川流域の自然や文化、憂慮すべき課題やプロジェクトの活動などを文章と写真で紹介した本を、英語ビルマ語併記版で製作、出版し、国内外に広くエヤワディー川のこと、当プロジェクトのことを紹介する。
AB3基金を設け、本の売上金をプールする。基金の管理は地元の協力団体に委ね、売上金は、各パイロット地区への支援とみなして、プロジェクト期間終了後、一定期間ごとに各地区に均等配分するよう調整する。
プロジェクト終了時点では、支援の有無に関わらず、各地で取組んできた活動内容が習慣化していることが望ましいが、それには、お金には替えられない人々からの賞賛、精神的支持がプロジェクト活動に取組んできた挑戦者たちの大きな支えとなるはずである。時空を越えて現地と世界を繋ぐことができる本の出版は、心の応援をいただくための有効なツールであろうと考える。
活動開始~継続の鍵
当方から現場に申し出た支援の中身は、各地域にとっては決して突飛なものではなく、ずっと気にされてきたことへの対策であったり、かつて取組もうとしたことを応用発展させたような活動の提案であったりしたため、短期間で開始に漕ぎ着けられ、継続できているように思える。それには、長年の当該国との関わり、直前の調査の実施などがうまく機能したことが幸運であった。
大きな予算を準備し、目新しい高価な機材を供与する大規模な事業にも大きな意義があり、実施は可能だが、現場が中心になる前に、まずは関係省局本部への配分をどうするかなどの話になってくる可能性があり、事業開始までには、より長期間を要し、フットワークは、ずっと重くなることが予測される。
当方では当面、いわゆる草の根レベルでの活動を通して、地域の環境改善、社会の発展に寄与したい所存である。
18th Oct. 2011 wrote:
下記のアドレスからエヤワディー川流域の景観写真ファイルがダウンロードできます。
http://dl.dropbox.com/u/10626609/AB3%E5%AE%9F%E6%96%BD%E5%9C%B0%E5%9F%9F%E5%86%99%E7%9C%9F.doc
The file of Ayeyarwady basin scenery can be downloaded by accessing the under-mentioned address...
http://dl.dropbox.com/u/10626609/AB3%20area%20picture.doc
24th May 2011 wrote:
背景:
ミャンマーの国土を北から南に縦貫して流れるエヤワディー(イラワジ)川の沿線には、豊かな水系資源をより処に、多くの人々が集まっており、地域住民は、水浴、洗濯、飲食のすべてに川の水をそのまま使っている。
昔から変わらぬ自然に溶け込んだ暮らしぶりには敬意を表し、その頑強さには憧れも抱くが、取巻く物質は近年激変し、プラスチック類、合成洗剤、乾電池などが急速に普及している。
けれども、ゴミや汚水は、今でも川にそのまま流しており、新しい物質に対応した分別や回収のシステムは確立していない。
エヤワディーの中流域には陸封生のカワゴンドウが、デルタのマングローブ域にはイリエワニが、河口周辺には数種の母ウミガメが、それぞれ限られた範囲に生息している。より水に依存して生きている大型水生動物の生息状況は、我々の将来の生存環境を占う指標でもある。
この人口密集地域に、これらの希少な動物が隣人として生存し続けてきたことは奇跡的であるが、化学物質による水質悪化の影響は、彼らの生理・生態にいち早く顕われ、やがては住民の子どもたちの体へ遺伝的に蓄積されてゆくのではないかと懸念される。
経緯:
エヤワディー川の水を巡る環境問題に関しては、流域での聞き取り調査や水質検査や動物観察など、数年前より大西個人で活動してきましたが、この度、日緬の有志団体の協力を得、プロジェクトとして発展継続することとなりました。
今後、生活廃棄物の処理や使用する製品の選択などに対する住民と行政の意識改革および生活改善などに取組み、エヤワディー川沿線のすべての生き物が共生できる健康的な水圏環境の再生を目指します。
実施体制:
・調査担当機関 (Research Organization):
社団法人 沖縄国際マングローブ協会 (会長: 中須賀常雄)
Okinawa International Association for Mangroves (OKINAM)
(Chairman: Tsuneo Nakasuga /Dr.)
・事業開始コンサルタント (Launching Consultant):
Nature Lovers International (Chairman & CEO: Aung Din /Mr.)
・現地協力NGO (Local Cooperative NGO):
SITAGU International Buddhist Missionary Center (Secretary: Win Aung /Mr.)
・プロジェクト責任者/主任調査員 (Project Representative / Chief Researcher):
大西信吾 (Shingo Onishi /Mr.)
エヤワディー川は、
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AB3 project has been concluded successfully in Mar. 2014.
AB3プロジェクトは、2014年3月を以って無事完結いたしました。
17th Oct. 2012 updated:
下記のアドレスからAB3プロジェクトの告知板がダウンロードできます。
https://dl.dropbox.com/u/10626609/AB3%E3%83%9D%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC.doc
Some bill of AB3 project can be downloaded by accessing the under-mentioned address...
12th May 2012 updated:
2012年3月23日に経団連会館にて行われた活動報告会で配布したプロジェクトの要約を以下に公開いたします。
環境改善に挑む人々の記録
―ミャンマー・エヤワディー川沿線での取組み
(社) 沖縄国際マングローブ協会
主任研究員 大西信吾
ミャンマーの国土は、日本の約1.8倍の広さがあり、緯度差約19度と南北に長い。さらに、立体的には、6,000メートルに迫る標高差を持つ(最高点5,881m)。変化に富む地勢は気象に影響し、南にはサンゴ礁が造られる一年中暖かい海が広がり、北には万年雪をいただく山岳がひしめき、年間降水量は、500mmに満たない地域から5,000mmを越す地域まである。東南アジアにおける最高点と最も乾燥した土地と最も豪雨を被る土地を一国に擁するのがミャンマーである。
多様な自然は多様な生物相を育み、例えば概算で、植物約7,000種、哺乳類約300種、鳥類約1,000種、爬虫類約360種が生息すると言われている。
それらの命の源である水を生む森林は、徐々に状態が悪化してきてはいるものの、いまだに国土の約半分を覆っている。ここまで森林が維持されてきた要因としては、皆伐を避け、選抜された丸太のみを伐採してゾウで山地から運び出すという、ミャンマー独自の択伐法が何とか機能してきたことが大きい。ゾウ使いをはじめ林業に従事するミャンマーの森人(もりびと)たちは、山河の守人でもあったようだ。
心のよりどころ、エヤワディー川
豊かな森がもたらした水は、低地に下って合流し、大河となって、ゆったりと南の海に向かう。中でもエヤワディー(旧名:イラワジ)川は、国土のほぼ中央に本流を成し、ミャンマー国民の過半数が、その流域の中で生活している。源流から河口までのほとんどが一国の中で完結しているこの希な大河は、ミャンマー国民にとって国土を作った土着のシンボルであり、そこに抱く憧れや敬愛の感覚は、日本人が富士山に抱く感覚と似ているようにも思える。
さらに特筆すべきは、この河川沿いには人口が密集しているにもかかわらず、希少な大型水生動物がいまだに生息していることである。河口から約900キロさかのぼったあたりから約1,400キロあたりにかけては、純淡水生のカワゴンドウが生息し、デルタに残っているマングローブ域にはイリエワニが生息し、河口周辺には数種のウミガメが回遊し、河口岸や小島には母カメが産卵のために上陸する。
AB3プロジェクトの実施
背景と経緯
エヤワディー川の沿線には、豊かな水系資源をよりどころに、多くの人々が集まっており、地域住民は、水浴、洗濯、飲食のすべてに川の水をそのまま使っている。昔から変わらぬ自然に溶け込んだ暮らしぶりは尊敬に値するが、取巻く物質は近年激変し、プラスチック類、合成洗剤、乾電池などが急速に普及してきている。しかしながら、ゴミや汚水は、今でも川にそのまま流しており、新しい物質に対応した分別、回収、処理のシステムは、いまだ確立していない。
化学物質による水質悪化の影響は、地域住民の隣人として生存し続けてきた大型水生動物の生理・生態にいち早くあらわれ、やがては地域の子どもたちの体へ遺伝的に蓄積されてゆくのではないかと懸念される。人間以上に水に依存して生きている各地の大型水生動物の生息状況は、地域住民の将来の生存環境を占う指標となるはずである。
エヤワディー川の水を巡る問題に対しては、流域住民への聞取り、水質検査、野生生物観察など、数年前より大西が活動をしてきたが、平成23年度より経団連自然保護基金からの支援をいただき、“エヤワディー川三大動物共生計画(Ayeyarwady Big Three Symbiosis Project, 通称:AB3 Project)”として正式にプロジェクトが発足した。
目標
プロジェクトが最終的に目指すゴールは、エヤワディー川沿線のすべての生き物が共生できる健康的な水圏環境の再生である。
そのゴールに向かう一歩を踏み出すべく、三つのパイロット地区において、それぞれが直面している目前の課題に対応した目的を立て、地域密着型の行動を起こす。
初めから完璧を目指すよりも、まずは行動を起こし、その取組みを周りに見せることが何よりも大事なことであろうと考える。
プロジェクト活動三つのアプローチ
環境調査(広域活動)
現地で一般的な洗剤類の成分分析、パックテストによる広域水質検査、研究機関の協力による重金属の検査を、エヤワディー川流域を対象に実施。
撮影記録(広域活動)
エヤワディー川流域の景観、生物、土着文化などを写真で記録し、保存する。
パイロット地区での取組み(重点地域活動)
環境改善を目指した三様の取組みを3ケ所のパイロット地区にて展開する。
各パイロット地区の概要と取組み
地区A
目的:ゴミの分別・適正処理
場所:エヤワディー川中流域、マンダレー管区マタヤ郡エーチュン村
シンボル獣:カワゴンドウ(別名:イラワジイルカ)
カワゴンドウはアジアからオセアニアの熱帯の沿岸に生息するが、一部の地域では淡水の河川にまで分布を広げている。エヤワディー川では、沿岸から汽水域にいる他は、本流下部では生存が途絶えているが、約900キロさかのぼったあたりから再び現れる。その中流域の完全な淡水に棲むグループは、決して下流や海に下ることはなく、世界で最も内陸に住む陸封型のカワゴンドウである。その中でも、さらに一部のグループは、地元の漁師と協力して、ここだけで見られる伝統的な方法で漁をする。
活動にいたる背景:
エヤワディー川中流域では、船舶の増加、違法な電気ショック漁の横行などで漁獲量が激減しており、カワゴンドウと漁師が協同で漁を行うことも困難になりつつある。さらに、水生動物体内の水銀蓄積量が増加していることも証明されており、上流側の金鉱山の拡大、有害なゴミの増加などが原因として疑われる。
事前調査で、のちのパイロット地区となる地域を中心に、18の村の住民約30名に聞取りを行ったところ、ゴミは、空き地や川に捨てるのが通常で、燃やすこともあるのは5つの村のみだった。その中で、中流域で唯一ゴミを焼却しているのがエーチュン村で、しかも、時折ではなく、習慣として村ぐるみで集積場を定めて持続的にやっていた。
活動内容:
これまでは単に集めて焼却していたゴミを、焼却するもの、埋め立てるもの、堆肥にするもの、換金するものに分別し、それぞれに相応しい処理を施すということで、村の自治体と合意した。このゴミの分別処理は、小規模ながらミャンマー初の試みかもしれない。
既に可燃ゴミは焼却を実施し、埋め立て用の穴には徐々に不燃ゴミが溜まってきている。ゴミの分別・焼却の責任者は、村の消防団長で、カワゴンドウとの漁の技術を持つ漁師でもある。
もっとも大量に出る有機ゴミ(主に集落内の落ち葉)は、現在、時折くぼ地に集めて焼却しているが、これを堆肥にするための講習を、2012年5月下旬から7月にかけて現地で行う。この講習の実現にいたるには、現森林局次長の合意と手配があり、かつて日本より無償供与された中央林業開発訓練センター中部サブセンターから村に専門家が派遣されることが決定し、日程や必要資機材などについては、既に打合せを終えている。
プロジェクト対象地区の中で最も上流側にある当地区において、有害なものをなるべく川に出さない努力を民間の自治体が実行するのは、意義深いことであろう。
地区B
目的:入域者管理・啓発
場所:エヤワディー川デルタ地域、エヤワディー管区ボーガレー郡メインマラー島自然保護区
シンボル獣:イリエワニ
かつてミャンマーに4種いたワニのうち、現存するのはイリエワニのみである。その生息地は、デルタ地域の中でも唯一まとまって天然のマングローブ林が残っているメインマラー島にほぼ限定され、希に他の地域で生き残っているイリエワニの出現情報があった場合にも、捕獲してこの島に移送している状況である。
活動にいたる背景:
メインマラー島は中州から成る平らな島で、マングローブ林に覆われた島内には網の目のように大小の水路が巡り、入り組んでいる。デルタのマングローブ林がほとんど伐り尽くされた現在、生物が多様なこの島は、付近で最良の漁場でもある。あたりは2008年にサイクロンの直撃を受けた地域で、ほぼすべての住民が亡くなったか被災難民となった。自然保護区へ許可なく一般住民が立ち入って生業を行うことは、本来認められないが、復興支援の意味もあり、保護区内での小規模な漁は、これまで黙認してきた。
また、水路は島の東西南北に抜けており、島の周囲の本流に比べて波風が穏やかである。そのため、安全な近道であり、サイクロンや津波に対するシェルターの効果もあるため、人道的見地からも、小船の進入、通行は禁止すべきではないだろう。
ただし、大規模な漁や、水中に殺虫剤や電流を流したりする違法な漁は禁止で、さらに島内での樹木の伐採は一切認めていない。また、ワニの営巣が確認された場合は、そのエリアへの立入りが禁止される。
活動内容:
これまでは、以上の取決めが、森林局保護官と地域住民の間の微妙な機微の中で施行されてきたが、プロジェクトでは、これらを明文化、制度化することにより、排除するのではなく、むしろ積極的に地域住民と島の野生生物との共存を目指す。要領は以下の通り。
島内での小規模漁や通行を希望する者は、島内5ヶ所にある監視詰所のいずれかに申し出て、違法なものは所持しておらず違法行為も行わないということを確認した上で、島内での注意事項が記載された入域許可手帳とゴミ袋を受け取る。
島に入るごとに、いずれかの詰所で手帳を提示し、保護官の確認の署名を得る。島から去るときにも最寄りの詰所に立ち寄り確認の署名を得る。その際、島内滞在中に出たゴミを詰所に設置された回収ボックスに収め、決して島内には投棄しない。
この活動に参加してくれている住民には、保護区の環境保全協力に対する報奨として、随時日用品などを提供する。
地区C
目的:海岸漂着物の回収・分析
場所:エヤワディー川河口域、エヤワディー管区ンガプートー郡タミーラ島自然保護区
シンボル獣:ウミガメ(主にアオウミガメ)
ミャンマー周辺の海に生息するとみられる5種のウミガメのうち、エヤワディー川河口沖には、アオウミガメとヒメウミガメが多く、かつては河口域の多くの砂浜に母カメが上陸し、産卵していた。その数は年々減少し、今では陸地側の沿岸での産卵の報告はほとんどなくなり、河口沖に点在する小島がウミガメ産卵地の防衛線となっている。そのうち、河口最西端沖のタミーラ島には、主にアオウミガメが上陸するが、統計のない数十年前に比べると、その数は一桁から二桁減っているとみられる。
活動にいたる背景:
ウミカメの卵は、ごく最近までセリにかけられていたほどになじみだった海産物で、今でも違法な売買は続いている。かつて一晩に二桁の母ガメが上陸していたと言われているタミーラ島では、最近では年間100~200例程度の産卵しか確認されていない。違法な卵の採集や魚網への混入による親ガメの水死などに加え、産卵地の環境悪化もウミガメの生存を危うくしている。
タミーラ島の海岸の砂は流失し続けており、徐々に島の面積が縮小してきている。世界的な異常気象の影響ではないかと考えられているが、追い討ちをかけるように近年立て続けに津波とサイクロンが襲い、砂浜の奥行きは一気に狭くなった。
さらに、最近急速に普及してきたプラスチック製品は劣化もせず軽いため、陸地側で投棄されたプラスチック容器や袋やナイロン魚網などが次々に島に流れ着いている。日本で海岸漂着物と言えば、近隣国から流れ着くことが知られているが、ミャンマーの場合、沖の小島は、国内の河川沿いで投棄されたものの最終到達地、まさに陸地のゴミの墓場となっている。
上陸した母ガメは、砂浜を這い上がり、海岸林との際あたりに巣穴を掘り産卵する。砂浜の奥行きが短くなった現在、ゴミは簡単に海岸林の際まで到達し、まさに営巣適地を覆っている。
活動内容:
気象をコントロールすることは不可能だが、人為による被害を減らすことは不可能ではない。
まず、島の東西の海岸に調査対象地を定めた。
両端を確定した調査対象地において、干潮時の砂浜の波打ち際から海岸林の際までの間に漂着した人工物のゴミを、半月に一度のペースで水産局保護官が回収する。
回収したゴミは7種に分類し、種類ごとに重量を計測して記録する。
この調査を一年間継続し、ゴミの種類や漂着量の推移などを明らかにし、ゴミの出所も推測する。その結果は、のちに環境教育を実施する際には、重要な証拠、資料として役立てる。
調査対象地は、実際に母ガメが上陸する砂浜に定めているため、ゴミの定点定期回収は、調査の実施のみでなく、ウミガメの上陸営巣地の環境を保全する活動ともなっている。
プロジェクトの展開(希望も含めて)
1年目(2011年4月~2012年3月)
・環境調査(事前調査時より開始)
流域でよく使われている洗剤類の成分を(株)太陽油脂本社にて分析。
パックテスト((株)共立理化学研究所製)による広域水質検査。同じ地点を乾季と雨季の二度にわたり実施。
愛媛大学沿岸環境科学研究センターと野生生物保護協会(WCS)の協力による生物体内に蓄積した重金属の検査。
※ 2年目以降も必要に応じ随時実施。
・撮影記録(事前調査時より開始)
エヤワディー川流域の景観、生物、土着文化などの写真撮影。
※ 2年目以降も継続。
・各パイロット地区での活動開始
関係する組織と協議を重ね、プロジェクト活動の承認を得、活動内容の指針を構築して一年間のトライアルの道筋をつけた。三つの地区とも指針に沿った活動を開始し、巡回調査のたびに試行錯誤して、わずかな改善、軌道修正を加えつつ現在継続中である。
2年目(2012年4月~2013年3月)
・各パイロット地区での活動完了
各地区にて活動を継続し、開始から一年間経過した時点で、支援金の支給は一旦終了し、各地区にて活動結果のまとめを行う。
・普及活動の開始
主に地元の地方祭でのブース展示を想定し、身近だがあまり見る機会のない地元の自然や生物や、環境改善を目指すパイロット地区での取組みなどを紹介した教育エキシビションを企画する。
2年目には、最も早く一年間の活動を完了する地区Bにおいて取りかかり、10月下旬の満月祭にあわせて数日間開催する。
3年目(2013年4月~2014年3月)
・普及活動の継続
2年目内に一年間の活動を完了する地区A・地区Cにおいても教育エキシビションを開催する。
・地区間の交流、技術交換
一年間の活動の結果を、三つのパイロット地区ごとにプレゼンテーション用に編集し、最大都市ヤンゴンにて報告会を開催する。
報告会には、各地区からの代表者数名ずつの他、森林局水産局などの関係政府機関、各地区が所属する行政区の役所、地元メディアなどからもゲストを招き、地区間の技術の交換や公共に向けてのアピールの場とする。
・活動成果の広報
エヤワディー川流域の自然や文化、憂慮すべき課題やプロジェクトの活動などを文章と写真で紹介した本を、英語ビルマ語併記版で製作、出版し、国内外に広くエヤワディー川のこと、当プロジェクトのことを紹介する。
AB3基金を設け、本の売上金をプールする。基金の管理は地元の協力団体に委ね、売上金は、各パイロット地区への支援とみなして、プロジェクト期間終了後、一定期間ごとに各地区に均等配分するよう調整する。
プロジェクト終了時点では、支援の有無に関わらず、各地で取組んできた活動内容が習慣化していることが望ましいが、それには、お金には替えられない人々からの賞賛、精神的支持がプロジェクト活動に取組んできた挑戦者たちの大きな支えとなるはずである。時空を越えて現地と世界を繋ぐことができる本の出版は、心の応援をいただくための有効なツールであろうと考える。
活動開始~継続の鍵
当方から現場に申し出た支援の中身は、各地域にとっては決して突飛なものではなく、ずっと気にされてきたことへの対策であったり、かつて取組もうとしたことを応用発展させたような活動の提案であったりしたため、短期間で開始に漕ぎ着けられ、継続できているように思える。それには、長年の当該国との関わり、直前の調査の実施などがうまく機能したことが幸運であった。
大きな予算を準備し、目新しい高価な機材を供与する大規模な事業にも大きな意義があり、実施は可能だが、現場が中心になる前に、まずは関係省局本部への配分をどうするかなどの話になってくる可能性があり、事業開始までには、より長期間を要し、フットワークは、ずっと重くなることが予測される。
当方では当面、いわゆる草の根レベルでの活動を通して、地域の環境改善、社会の発展に寄与したい所存である。
平成24年3月23日
経団連自然保護協議会 NGO活動成果報告会
下記のアドレスからエヤワディー川流域の景観写真ファイルがダウンロードできます。
http://dl.dropbox.com/u/10626609/AB3%E5%AE%9F%E6%96%BD%E5%9C%B0%E5%9F%9F%E5%86%99%E7%9C%9F.doc
The file of Ayeyarwady basin scenery can be downloaded by accessing the under-mentioned address...
http://dl.dropbox.com/u/10626609/AB3%20area%20picture.doc
24th May 2011 wrote:
新プロジェクト始動!
エヤワディー川三大動物共生計画
- Ayeyarwady Big Three Symbiosis Project (AB3) -
【日本経団連自然保護基金支援プロジェクト】
ミャンマーの国土を北から南に縦貫して流れるエヤワディー(イラワジ)川の沿線には、豊かな水系資源をより処に、多くの人々が集まっており、地域住民は、水浴、洗濯、飲食のすべてに川の水をそのまま使っている。
昔から変わらぬ自然に溶け込んだ暮らしぶりには敬意を表し、その頑強さには憧れも抱くが、取巻く物質は近年激変し、プラスチック類、合成洗剤、乾電池などが急速に普及している。
けれども、ゴミや汚水は、今でも川にそのまま流しており、新しい物質に対応した分別や回収のシステムは確立していない。
エヤワディーの中流域には陸封生のカワゴンドウが、デルタのマングローブ域にはイリエワニが、河口周辺には数種の母ウミガメが、それぞれ限られた範囲に生息している。より水に依存して生きている大型水生動物の生息状況は、我々の将来の生存環境を占う指標でもある。
この人口密集地域に、これらの希少な動物が隣人として生存し続けてきたことは奇跡的であるが、化学物質による水質悪化の影響は、彼らの生理・生態にいち早く顕われ、やがては住民の子どもたちの体へ遺伝的に蓄積されてゆくのではないかと懸念される。
経緯:
エヤワディー川の水を巡る環境問題に関しては、流域での聞き取り調査や水質検査や動物観察など、数年前より大西個人で活動してきましたが、この度、日緬の有志団体の協力を得、プロジェクトとして発展継続することとなりました。
今後、生活廃棄物の処理や使用する製品の選択などに対する住民と行政の意識改革および生活改善などに取組み、エヤワディー川沿線のすべての生き物が共生できる健康的な水圏環境の再生を目指します。
実施体制:
・調査担当機関 (Research Organization):
社団法人 沖縄国際マングローブ協会 (会長: 中須賀常雄)
Okinawa International Association for Mangroves (OKINAM)
(Chairman: Tsuneo Nakasuga /Dr.)
・事業開始コンサルタント (Launching Consultant):
Nature Lovers International (Chairman & CEO: Aung Din /Mr.)
・現地協力NGO (Local Cooperative NGO):
SITAGU International Buddhist Missionary Center (Secretary: Win Aung /Mr.)
・プロジェクト責任者/主任調査員 (Project Representative / Chief Researcher):
大西信吾 (Shingo Onishi /Mr.)
ミャンマー北部の山岳地帯で誕生し…
漁師と野生のカワゴンドウが協力して漁をする
(中流域マタヤ郡付近)
デルタ地帯に残るマングローブの岸辺にたたずむ
イリエワニ (メインマラー島自然保護区)
河口から沖合の島に上陸する母ガメ
上:ヒメウミガメ 下:アオウミガメ (タミーラ島自然保護区)
…ミャンマー南部の沿岸地帯で海と溶け合う