# 本編内容の一部を、下記の編で訂正しています。
幻の大衆麺、その8. 未解決食材編
独自の理論を駆使(くし)して麺類(めんるい)を分類している愛媛大学の二宮先生が訪緬(ほうめん)した際、私たちは麺屋を片っ端(かたっぱし)から梯子(はしご)した。
アジアの麺類をまとめた文献(ぶんけん)にも載(の)っていないのがいくつもあるとかで、その種類の豊かさに先生はスパゲティーのごとく舌を巻き、いつも当たり前のように食べていた麺たちが外の世界ではノーマークだったという事実に、私の口は丼(どんぶり)のように開いた。
そうと分かったからには、あえて大げさに後出(あとだ)しで宣言(せんげん)させてもらうが、ミャンマーは知られざる麺の大国である!朝から外で食べられる麺だけでも五種類ぐらいはすぐに挙(あ)げられ、五日間食べ歩いても先生には七割程度しか紹介できなかったほどだ。
シャン州の名物、豆腐絡めソバ
Noted product in Shan State, Tofu dressed noodle
その中で珍品(ちんぴん)一位に選ばれたのが、トーフーヌエというシャンの麺類だった。と言ってもシャン州まで行く必要はなく、ヤンゴンにもシャン屋は至(いた)る所にある。
トーフーは豆腐(とうふ)、ヌエは温かいという意味で、湯切りした麺に、固める前の豆腐の元のような大豆由来(だいずゆらい)のペーストを絡(から)めて食べるのだが、その食感は、とろろと麺を同量にしたぶっかけさぬきうどんなら、かなり近くなるかもしれない。
食べる前に麺と豆腐をかき混ぜる
Mixing noodle and tofu paste before eating
ベースとなる麺は数種あるが、米と餅(もち)米を混ぜて打った、すこぶるコシの強いサンスィーという平麺(ひらめん)が一番相性(あいしょう)がいいように思う。
日本語の達者(たっしゃ)な観光地の売り子でも、もはや私を素通(すどお)りしていくが、いくら草履履(ぞうりば)きの焼けた足にロンジー(腰巻き)をまとっていても、麺屋に寄ると最後には外人であることがバレてしまう。
「なんて食い方してる、ちゃんとサジで飲みなさい!」ココナツ麺屋の5歳ぐらいの息子にたしなめられた。どうやら、丼に直接口を当てるのは日本人だけのようだ。
シャン風の漬物や野菜の酢漬けが添えられる
Shan style pickles or pickled vegetables are garnished.
0 件のコメント:
コメントを投稿