2014年1月11日土曜日

幻の大衆麺、その2. -Uncommon ordinary noodle, part 2.-

トーフーヌエは、いわば汁(しる)あり系と汁なし系の中間的麺類だが、典型的なシャンカウソェ(シャン風ラーメン)では、汁のあるなしが選べる。
スタンダードの汁なしシャンカウソェ
Standard Shan noodle

何も言わなければ、汁なし(アトウッ)が出てくる。丼には湯を切った麺が調味(ちょうみ)油の上におさまっているが、澄(す)まし汁が小ぶりなお椀(わん)に入ってセットで付いてくる。
汁ありシャンカウソェ
Shan noodle in soup

日本のラーメンのような、どっぷり湯に浸(つ)かったのがよければ、注文の時に、汁あり(アイェー)と言っておかなければならない。「体調でも悪いの」とでも言われそうなほど、ヤンゴンあたりでは汁ありのほうが少数派なのだ。

また、シャン風は、麺の種類が豊富(ほうふ)なことも特徴(とくちょう)。どれも米由来(ゆらい)だが、オーソドックスなシャンカウソェの他、幅広(はばびろ)で平たいサンピャー、ストレートで喉越(のどご)しのいいミーシェー、コシの強いサンスィーと控(ひか)えている。
幅広麺のサンピャー
Flat wide typed Shan noodle

特にヤンゴンなど南部の国民的麺類と言っていい汁あり系の定番(ていばん)が、モヒンガーだ。

店や地域によって味もいろいろだが、表面を発酵(はっこう)させているという米の麺に、ナマズなど魚系のドロッとした汁をかけるというのが基本だ。
ヤンゴンのモヒンガー。バナナの茎入り
Mohingar noodle in Yangon. Cut Banana stems are contained.

ヤンゴンあたりだと、シャキシャキして繊維(せんい)の多い三日月のような野菜が入っているが、正体は輪切りにしたバナナの茎のかけらだ。
左:ニャカウソェ、右:モヒンガーァパッ
Left: Flat noodle, Right: Standard noodle

この麺も、基本の細いモヒンガーァパッの他、平たいニャカウソェがあり、トッピングには、ヒヨコ豆やユウガオの揚げ物や、刻(きざ)み揚げパンがおなじみだ。
汁鍋の上にトッピング用のひよこ豆の揚げ物が
Deep-fried Chickpeas on the soup pot for the topping
トッピングにユウガオの揚げ物
Deep-fried Bottle Gourd is topped.

もう一つ国民的麺類と言えたのがオウンノウッカウソェで、直訳するとココナツミルク麺だ。こちらは、小麦の中華(ちゅうか)麺に鶏(とり)とココナツミルクがベースの汁をかける。
ココナツミルク麺
Noodle in Coconut milk soup

このココナツ麺、今や絶滅危惧種(ぜつめつきぐしゅ)となりつつある。かつては、モヒンガーを出す店なら、たいてい横にセットで並べて売っていて、「ぼくモヒンガー、君オウンノウッ」の世界だった。

けれども、ココナツミルクは急性の高血圧を引き起こし、食べた後に亡くなるケースがあると言われるようになり、牛乳に切り替えたり、メニューそのものが消えてしまった店も多い。

ところが、奇(く)しくも先述(せんじゅつ)の二宮先生は、血圧を下げるため乳製品はなるべくココナツミルクに切り替えるようにと、医者に言われたそうである。

どうやら、ココナツミルクが血圧に影響(えいきょう)するのは本当のようだが、日本の医者とミャンマーの庶民(しょみん)では正反対の見解(けんかい)となっており、私はいまだ真相(しんそう)が分からないままでいる。

先生は、牛乳業界の陰謀(いんぼう)も疑っているが…それにしては代わりの牛乳麺(ノウッセインカウソェ)は、それほど普及(ふきゅう)していない。
今では希少なココナツ麺屋、テイクアウトもOK
Coconut noodle shop is getting rare now. Any noodle can be taken out by plastic bags.

次回は汁なし系定番に迫(せま)ってみたい。

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