例えば、十年単位で住む定住型の家を建てるなら、まずは柱を強度と耐久性のある木の丸太にし、床の梁(はり)にも木材を使う。
心柱には土地の精霊に貢ぐバナナとココナツを下げている A coconut and a bunch of bananas are hung on the central pillar as the offering to the local Spirit. |
床は、異物の侵入や湿気を避けるため、地面からは高く持ち上げて離すのが基本で、そこに架けるエントラスは、バランス感覚のいい森人なら簡単な竹製の梯子(はしご)で十分である。
もちろん、森人の手にかかれば、階段も竹で作ってしまう。階段だと上り下りが楽で、特に客人には、より優しくなる。ただし、犬や鶏や野生動物にも優しくなってしまうので、彼らの侵入も簡単に許してしまうかも。
チェーンソーが普及した現在では、木製の板を床材として敷く者もいるが、座り心地、寝心地で言えば、前便で紹介した竹マットに勝るものはない。床やエントランスの仕様は小屋の目的により様々で、何かあったらすぐに飛び出さなければならないゾウの訓練キャンプなどでは、いちいちエントランスを設けず「地面 to フロア」や「地面 to ベッド」にしている詰所が多い。
地面 to フロアタイプ Ground to Floor type |
壁も、基本は竹マットだが、シンプルに梁に挟み込む方法でも、前便で紹介した縦詰め式の他、長い竹マットを横にして幅いっぱいに渡して詰めるやり方もある。本便5~7番目の写真の家もそうしている。
また、予め地面で壁を組んでおいてから立てかける方法もある。この小屋は、離れのキッチンに使う It is used as a detached kitchen. |
ウナギ捌き方式で繊細に開いて伸べた帯状の竹マットを多数準備し、縦横直角に次々に重ねていって、好みの大きさ好みの縦横比の大判パネルに組み上げていくのだ。
色の違う竹の裏表を工夫して配置し、思い思いのモザイク柄にして化粧壁や窓に使ったりする。
とにかく、ウナギ捌き方式の技を身に付けていることで平面な竹材を簡単に生み出すことができ、その竹マットに強度のある竹竿を組み合わせることにより、ミャンマーの森人は、建築材としての竹の可能性を格段に広げている。高床に固定したテーブルと椅子は、床の下の地面から立てた高い脚で支えている A table and chairs on a raised floor are supported by tall legs from the ground. |
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