列車の旅をしたのは久しぶりだった。このところ陸の移動ではバスを使うことが多く、鉄道そのものに目的でもない限り、ミャンマーの列車は、あまり乗る気にはなれない乗り物だ。
理由の一つが、比較的時間どおりに目的地に着くバスに比べて、時間があまりあてにならないこと。特に到着時間は、長距離区間だと1時間2時間の遅れは当たり前。
レールに乗っかっているほうが確実なような気もするが、ほとんどの区間が単線であるため、停車駅ですれ違いの時間調整をするのだ。さらに、上り列車が線路で立往生(たちおうじょう)すれば下り列車も通過できないことになってしまう。
もう一つの理由は、国有である鉄道では割高(わりだか)の外国人料金を取られること。同じ座席に座り同じ区間を移動し同じサービスを受けているのに料金が違う。最近のレートだと三倍近く高くつく。
一方、バスは民営なので同一料金の場合が多い。たまに列車やホテル並みに外国人料金を取るバスもあり、どういう資格を持っているのかは知らないが、乗客からすれば、同一料金バスとの差は分からない。
今回は、それらのマイナス条件をのんででも乗り込んだ、まさに目的のあった路線だった。
そのクライマックスは、先に書いた大鉄橋だったのだが、一日上下一便ずつのマンダレー-ラーショー間は、沿線の草木の繁茂(はんも)が尋常(じんじょう)ではなかった。
前向き窓際(まどぎわ)の座席の人は、特に目をやられないよう細心(さいしん)の注意が必要だ。“自分の身は自分で守る”。いきなり旅の大原則を再確認せずにはいられない。
無数の枝葉が車体を叩く
Abundant branches and leaves hit the train
続いて面食(めんく)らうのが、笑ってしまうしかない“揺(ゆ)れ”だ。これは、一日一便だろうと、ヤンゴン-マンダレー間のドル箱(チャット箱?)路線だろうと同じこと。快調(かいちょう)にスピードが上がってくると、乗客の頭がだんだんシンクロしてくる。
心地よいスウィングからロックへ、しまいには、ヘビメタ、パンクのライブ会場並みに全員の頭が上下に左右に揺れる。
岩壁も異常に近い!
Cliffs are so close to the train as well!
鉄道オリンピックがあれば、走りの部門は新幹線やユーロスターがしのぎを削(けず)るだろうが、高跳(と)びなら、わがミャンマーミヤター(列車)は間違いなくメダル候補だ。競技(きょうぎ)種目にはないだろうが、反復(はんぷく)横跳びもすごい!
(続く)
ねじれる車両連結部
Connecting parts of train are twisted
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