'07年12月9日、ミャンマー西部
'05年2月7日、中部
植物の葉の重要な役割といえば、ご存じ光合成(こうごうせい)で、根から吸い上げた水と降り注ぐ日光をもとに葉緑素(ようりょくそ)でもって炭水化物を作る。葉っぱたちの稼動(かどう)サイクルの違いで大別すれば、木は常緑樹(じょうりょくじゅ)と落葉樹(らくようじゅ)に分けられる。
常緑と言っても樹齢百年の木の葉が百年間生き続けているわけではなく、葉はどんどん入れ替わっている。けれども常緑樹は、一枚一枚の葉が落ちる時期がバラバラだったり、ごく短期間で新緑と入れ替わったりするため、木全体としては、一年中、緑の葉っぱが茂っているように見える。
一方、落葉樹は、炭水化物を作るには効率の悪い厳しい環境になってくると、木全体の葉をいっせいに落とし、光合成をあきらめて休眠(きゅうみん)に入るという戦法を採る。落ちる寸前の葉は葉緑素を使い果たして緑が抜け、あとには赤や黄や茶色の色素が残る。それらが紅葉を彩るのである。
なので、「紅葉は今が“盛り”」などと報道されると、木にとっては強烈な皮肉になってしまう。新緑は萌え出で、紅葉は燃え尽きるもの。石川さゆりさんが歌っているとおりだ。
'11年1月26日、西部
この落葉を誘発(ゆうはつ)する一番の要因(よういん)が、温帯では秋の気温の低下である。ならば、一年中温かい熱帯では、いつも光合成をするのに都合がいいかというと、そうでもない。もう一つの条件、水に影響されるのである。
赤道付近の低地では一年中まんべんなく雨が降るが、赤道から離れるにつれ、太陽が近い時期には大雨が降り、太陽が遠い時期にはカラカラに乾き、いわゆる雨季と乾季がはっきりしてくる。
地形によっては、大洋からの季節風(モンスーン)や熱帯低気圧の豪雨がスコールに上乗せされ、赤道付近以上の降雨をもたらすが、降らない期間がとても長く総雨量も少なめだと、乾燥が要因となり、多くの木々は、やはり休眠を検討するようになる。
'11年1月31日、西部
'11年2月2日、西部
2011年1月下旬、季節は乾季前半の涼季(りょうき)。樹木たちは空と相談し、いっせいの落葉をうかがって、あちらこちらで赤や黄色に染まっていた。山が燃え尽き木肌があらわになるころ、季節は乾季後半の暑季(しょき)へと移ろい、ゾウもゾウ使いも長い長い夏休みに入る。
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