Semi-wild cattle, Gayal(Mythun, Bos frontalis)
今ヤンゴンの緑は、ノッポのビルたちに次々にかじられ飲み込まれつつある。
植民地時代からのくすんだビルと大木が優雅(ゆうが)に並んでいた一昔前の町の面影(おもかげ)が漂(ただよ)うスポットはもはや希少(きしょう)だが、その一つがヤンゴン動物園だろう。
門を潜(くぐ)ったなら、そこには1906年の開園以来、周囲の喧騒(けんそう)に翻弄(ほんろう)されることなくたたずんできた時間と空間が広がっている。
猛獣の檻(おり)、大鳥が羽ばたく大ケージ、草食獣が放された広場と、古風な展示スタイルだが、何か違う。
Rain tree (Samanea saman) is growing in the deer’s yard.
シカが走り回る地面はヤンゴンの土そのままだし、サルが跳(は)ね回る太枝はレプリカではなく本物の木切れを据(す)えつけている。
ヘビの堀(ほり)では、中から伸びてる木の枝の上からコブラに見下されることもあるが、彼と私を隔てるものは腹の高さの塀(へい)一枚。網もガラスもない微妙(びみょう)な間合(まあ)いだ。
Some kinds of snakes included Cobra are on branches.
めったに見られない種類が捕まり、さも珍獣でもなさそうに飼われていることもあるので、時々訪ねてアップデートしておこう。
いつもいるなじみの中では、ガヤル(マイトン)の家族などは圧巻(あっかん)だろう。野生動物ガウア(ガウル)を家畜化したとされる謎めいた牛だ。
This Gayal is supposed to have very thicker blood of Gaur.
ただ、増えやすい種類は次々生まれ、希少な種類は単独のまま最期を待っているような傾向はあり、ノアの箱舟の役割を果たすには、国内外の力の結集が必要だろうが、手間や衛生(えいせい)に問題がない限り、命に優しい天然素材で満ちた今の施設と風致(ふうち)をできるだけ活(い)かす路線を望みたい。
一年前の町並みすら忘れてしまいそうなヤンゴン市民にとって、大木の間をそよ風が吹き抜けるこの場所は別格(べっかく)。家族や動物との思い出が詰まった心のふるさとに違いないのだから。
This carnivore cage was constructed in 1915.
※ 後日、続編を掲載します。
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