2012年9月12日水曜日

はるかなるラーショー温泉 -Far and ancient Lashio hot spring-

愛媛新聞「ぐるっと地球」'12年8月27日原文追補
シャン台地の農耕地帯を行く
Going through farmland on Shan plateau

中部の町マンダレーから列車で大鉄橋を越えシャン台地を北東に進むこと18時間。中国との交易(こうえき)で栄(さか)える町ラーショーにたどり着く。
ラーショーの市場界隈
Market place in the central Lashio

商売に縁(えん)のない私の目的地は、市街地(しがいち)から三輪タクシーで30分ほど走った農村地帯にあった。ミャンマーでは数少ない温泉だ。
市内を走る三輪タクシー
Tricycle running in the city

温泉と言えば、「日本最古の温泉」という言葉を聞いたとき、すぐには意味が理解できなかった。人類誕生のはるか以前から温泉は地球のあちこちで噴(ふ)き出していたはずで、地上に顔を出した順番など分かるわけがない。「歴史上、最も古く文書(もんじょ)に登場する」との説明に、やっと納得(なっとく)。

分類の仕方(しかた)でも私はちょっとひねくれてるのかも。森林の分類法に天然林と人工林という線引きがあるが、四国西条(さいじょう)の“うちぬき水”のように、もともと自噴(じふん)しているのが天然温泉で、掘削(くっさく)したり地下から汲(く)み上げたりしているのは人工温泉と呼びたい。
ラーショーの自噴する温水
Hot water welling out in Lashio

地球の内部は灼熱(しゃくねつ)なので掘(ほ)り進めば高温の地下水脈(すいみゃく)に当たる確率は高い。だからと言って最新技術にまかせて各地で温泉を掘り続けていると…水を注(さ)すようだが、夏場(なつば)時々報(ほう)じられる地下水位(すいい)の低下は、その影響もあるのかも。

ラーショーの場合はと言うと、商店街も宿もないのどかな畑の真ん中に林に囲まれた池があり、水面には煙(けむり)が漂(ただよ)い所々に泡(あわ)が立っていた。

町の児童公園ほどのその小さな池こそが源泉(げんせん)で、55度あるという温水を何の動力もなく静かに湧(わ)かし続けているのだった。茶店と入浴施設は傍(かたわ)らの高台にあり、バスタブに温泉水を配管(はいかん)した個室が並んでいる。
下流側にはプールのように整備された池がある。結構深い
There is the artificial pond at the lower side. Rather deep
奥が茶店
The house is the tea shop

自然や動物を追っているうち、開墾(かいこん)の進んだシャン台地には、しばらくごぶさたしていたが、久しぶりに柔(やわ)らかい湯に浸(つ)かり、あらためてシャンの魅力(みりょく)とミャンマー旅情(りょじょう)の奥深さが、温もりとともにホッコリ身にしみた。
入浴施設
Public bath court

3 件のコメント:

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    1. 試験投稿でしたので、削除してみました。
      ラーショーでは温泉近くの丘の上にある金色に輝くパゴダには行かれたでしょうか。

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    2. Yujiさんへ
      コメント投稿覧は時々セキュリティーチェックがあるようで、お手数をおかけしましたが、これに懲りずに、今後ともよろしくお願いします。
      さて、ラーショー温泉の近くでは、入浴施設のある小高い丘が一番高く、山並は、ちょっと遠かったです。もしかしたら、そこにパゴダがあったのかも。
      町なかの小高い丘には大きなパゴダがあり、道を挟んだ隣には中国式寺院もありました。
      Yujiさんも行かれたことのあるインレー湖西側の温泉の近くには確かに丘があり、その上には金色のパゴダが建っていたのを覚えています。
      大西信吾

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