2012年4月29日日曜日

青空商店街 -Shopping street under the sky-

愛媛新聞「ぐるっと地球」'12年4月13日原文追補
村の仕立て屋
The tailor (dressmaker) in the village

日本にいる間にバッグのチャックが壊(こわ)れでもしたら、半分諦(あきら)め気分で途方(とほう)に暮れる。けれどもそこがミャンマーなら不幸中の幸いに安堵(あんど)する。修理してとことん使うというシステムは、どうもミャンマーのほうが進んでいるようだ。日本のほうが後退(こうたい)したと言うべきか。
使い込んだハサミ
Well-used scissors

なにはともあれ、軒先(のきさき)にバッグがぶら下がった専門店街に行ってみる。通りに面したミシンに座(すわ)っている兄さんに物を手渡す。彼は舐(な)めるように噛合(かみあ)わせを眺(なが)めてツマミを走らせ、指を一本立てた。請求(せいきゅう)は千チャット(約百円)だ。
糊づけ
Starching

OK、あとはおまかせ。ミシンの他、ヤットコやらライターやらも駆使(くし)し、ものの五分ほどでミッション完了。清算(せいさん)前にチャックのチェック。つっかかりなく開閉する。大満足!
炭熱式のアイロン
Charcoal heated iron
もちろんコードレス
Of course, it's cordless

よく訪ねる大河の中流に横たわる島の集落にも仕立(した)て屋がある。雨の降らない乾季なら、だだっ広い庭の木陰(こかげ)にサンプルを吊(つ)るし、シンガーの足踏みミシンと炭を仕込(しこ)んだ黒がねのアイロンを元手(もとで)に青空工房(こうぼう)営業中だ。どんなデザインも自由自在、値段はYシャツなら350円ほど。
シンガーの足踏みミシン
SINGER treadle sewing machine

もしヤンゴンの町中で草履(ぞうり)の鼻緒(はなお)が切れても傘(かさ)の骨が折れても、決して諦める必要はない。アンテナ立ててさまよえば、きっとどこかの木陰か軒下(のきした)で、修理屋さんが道具を広げて、あなたと巡(めぐ)り会うのを待っているはずだから。
壁に貼られたサンプル
Sample designs put on the wall

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